花梨瘤紅白杢　70mm　切立型　1タッチ式　特上

【花梨瘤紅白杢の香合】

花梨（かりん）は東南アジアを代表する銘木で、硬質で緻密な木質と深みある色合いから、古来より高級家具や工芸品、楽器材に用いられてきました。その中でも特に希少なのが、樹幹や根元に稀に現れる「瘤（こぶ）」であり、その内部には幻想的な「瘤杢（こぶもく）」が広がります。

本作に用いられたのは、花梨瘤の中でも極めて珍しい「紅白杢」。樹木の中心部にあたる赤身は鮮やかな紅色から深い赤褐色を示し、辺材部の白太は淡く透き通るような乳白色を湛えます。赤と白が一つの木片に共存することで、夕空に溶けゆく雲や流れる霧を思わせる対比的な景色を描き出しています。

さらに瘤杢特有の複雑な渦巻きや玉杢が重なり、単なる材色の対比を超えた立体的で豊かな表情を生み出しています。まさに自然が偶然に描いた絵画のようであり、同じ景色を持つ材に再び出会うことはまずありません。

掌に収まる小さな器ながらも、紅白杢の鮮烈なコントラストと瘤杢の深淵な模様が、鑑賞物としても香を納める器としても圧倒的な存在感を放ちます。木工芸の妙味と自然の造形美が融合した、唯一無二の逸品です。